==== Text encoding : UTF-8 ==== Obedient Woods guitar score Daisuke Minamizawa Big South Valley Music ---------- 目次 (p4) 奏法/記号解説 p4 01 月 p7 02 星空はパラダイス p14 03 出会い p22 04 リトル・マーメイド p28 05 Uncle Tom's Cabin p32 06 故郷への長い道 p36 07 忘却の夜 p44 08 かに座ですカニ。 p49 09 Mimasaka p54 10 聖歌 p58 11 ジャンヌ・ダルク p62 12 海へ抜ける道 p70 13 星を継ぐもの p76 14 サンタクロースの弟子 [play D] p84 15 Subway Ranger "Metro-Man" p88 ---------- 奏法/記号解説 (p4) 【ストローク】  複数の弦を1本の指でまとめて弾く奏法です。楽譜では、TAB譜の下に付記された門(ダウン・ストローク/低音弦側から高音弦側へのストローク)、V(アップ・ストローク/高音弦側から低音弦側へのストローク)で表されます(図1[1]、[2])。また、楽譜上に斜めの四角(スラッシュ)で表記されたストロークによるコードは、直前に弾いたのと同じ音を(フォームを変えずに)弾くことを示しています(図1[3])。  演奏の際は、弾きやすい指を使えばよいでしょう。私は、ほぼ中指か人差指で行っており、激しいストロークの場合は複数の指を寄せ、1つのピックのようにして弾くこともあります。  メロディと伴奏をストロークで同時に弾く場合、メロディはピッキングして伴奏をストロークする…のではなく、1つのストロークで両方を弾き、ストロークの最高音がメロディになるようにします。伴奏楽器としてギターを使う場合と比べ、高音弦(メロディ)をしっかり弾くように意識しましょう。逆に、伴奏として記譜してあるストロークは、すべての音がキチンと出ていなくても、塊としてコードが響いていればOKです。  メロディより高い弦は、音を出さないように消音することが大切です。また、ストロークで途中の弦を弾かないよう記譜してある場合…たとえば譜例のGmaj7の場合、5弦の音は出したくないので、他の弦を押さえた指(この例の場合は6弦5フレットを押さえた薬指)などで触れて消音します(図1[4])。 【ブラッシング】  音高感の無いストロークで、ミュート・カッティングともいい、楽譜では縦長のXで表されます(図1[5])。押弦した左手を緩めるか(ただし、離さずに軽く触っておきます)、押弦に使っていない左手小指などで全弦に触れるなどして、ストロークします。 図1 ストローク、ブラッシング (1) ダウン・ストローク (2) アップ・ストローク (3) 直前と同じ音 (4) 消音する (5) ブラッシング 【クイック・アルペジオ】  2本以上の弦を同時にピッキングする際に、低音弦側(弾く指で言うと右手親指側)から少しだけ時間差を付けて、弦を1本ずつ弾く奏法です。楽譜では、音符の左側に付記された波線で表されます(図2[1])。低音弦側(親指)をほんの少し早く弾き、高音弦側が拍ちょうどのタイミングに来るように弾くとよいでしょう(イメージとしては、図2[2]のような感じです)。 図2 クイック・アルペジオ 【ストリング・ヒット】  右手の指で弦を叩き、そのまま弦に指を乗せることで、音を止めると同時に打音を出す奏法です。楽譜では、×印の符頭で表されます(図3)。たいていの場合、次のピッキングの準備を兼ねていますので、指は次にピッキングするまで弦に軽く乗せたままにしておきます。 図3 ストリング・ヒット 【チューニング】  このアルバム『Obedient Woods』で使用されているチューニングは、ドロップDのみです(6弦からDADGBE)。全弦半音下げや全音半下げなどのダウン・チューニングによる曲もありますが、弦同士の相対間隔はドロップDと同じです(すなわち、ドロップDにチューニングした全弦を、半音もしくは一音半など、同じように下げただけです)。また、カポの付け方が特殊な曲もありますので、詳しくは各曲の解説をご参照下さい。 【コードと単音の区別】  本書では、たとえばコードとしてのCの場合は「C」、単音としてのCの場合は「C音」と表記して、区別しています。 【楽譜】  本書では基本的に、メロディは音符の棒や旗を上向き、伴奏は下向きに表記して、区別しています。ただし、かえって煩雑になる場合は、違う分け方をしている場合もあります。たとえば3曲目「出会い」[B]の一部(p23)ではメロディに加えて、(厳密には伴奏である)ハモリを上向きで記譜してあります。  伴奏は基本的に、次のコード・チェンジまで音を伸ばしておきます。図4は「サンタクロースの弟子」[B]3小節目(p85)で、本書では上のように記してありますが、実際には下のように、同じコードの間は音を伸ばしておきます。特に押弦して弾く音の場合、“音を出したからもういいや”とコードの途中で離すのではなく、フォーム・チェンジに支障がない程度にぎりぎりまで押弦しておくとよいでしょう。  カポを使う曲やダウン・チューニング曲の場合、ギター用の楽譜では、実音表記(実際に鳴っている音の高さでの表記)ではなくプレイ・キーでの表記(カポ位置、あるいは0フレットを、通常のギターの0フレットの音とした表記)が一般的で、本書もそのように表記しています。たとえば図5は「忘却の夜」(p44)冒頭です。実際に鳴っている音やポジションは上のようにG#mキー(嬰ト短調)ですが、この曲は6カポですので、カポの位置を0フレットとして記譜すると下のようにDmキー(ニ短調)になります。また、これに付随して本書の解説文では、カポを付けたフレットを0フレット(DADGBE)として音名を表記しています。たとえば図5の最初の音は、実際には6弦6フレット・G#音ですが、解説では五線譜に合わせて6弦開放・D音と記しています。  また、TAB譜の数字が少しだけ横方向にずれて記されている場合があります。これは表記スペースの都合によるもので、ずらして演奏するわけではありません(図6)。ご注意下さい。 図4 伴奏は、同じコードの間は音を伸ばします 図5 実音表記(上)とプレイ・キー表記(下) 図6 TAB数字の左右のずれは、表記の都合です 【スライドとグリッサンドの違い】  本書では、開始音と到達音の両方が表記されていて開始音のみピッキングする場合を「スライド(s.)」(図7[1])とし、開始音と到達音の両方が表記されていて両方ともピッキングする(図7[2])か、片方しか表記されていない場合(図7[3])を「グリッサンド(g.)」として、使い分けています。 図7 スライドとグリッサンド (1) スライド(後ろの音は弾かない) (2) グリッサンド(両方とも弾く) (3) グリッサンド(片方のみ表記) 【消音とミュートの違い】  本書では、音を詰まらせた弾き方を「ミュート」、出したくない音を止めることを「消音」として、使い分けています。 【ダイアグラム】  左手の押さえ方や運指(フィンガリング)を図示したものです。本書では五線譜の上に、進行を含めた運指を記したダイアグラムを掲載してあります(図8)。たいていは該当する音符の真上に図示してありますが、スペースの都合でずれてしまう場合は、どの部分のダイアグラムか…を点線で示してあります(図8[1])。  ダイアグラムでは、左端の○は開放弦、①は左手人差指、②は左手中指、③は左手薬指、④は左手小指、[○t]は左手親指、[○i]は右手人差指で押さえることを表しています。また、下の小さな数字は、フレット番号を表しています(図8[2])。消音すべき音(弦)に×は付けてありませんので、ご注意下さい。  一部のダイアグラムには、指の動きを示す矢印も付記しています。複数の矢印がある場合、指数字の上側のものは、下側のものより先に弾くことを表します(図8[3])。ただしこれらの矢印は指の動きを示したもので、図からイメージされる順序と演奏の順番は必ずしも一致していない場合がありますので、ご注意下さい。また( )付きで示された音は、弾かないけれど押さえておいたほうがよい音を表しています(図8[4])。  ダイアグラムが記されたタイミングでは弾かないけれども、その前に弾いていて音が伸びている場合、押弦して出す音に 関しては指数字を記してあります(図8[5])。開放弦による同様の音に関しては特に○を付記してありませんので、ご注意下さい。  ただし、これらの指使いは私の手癖による部分も大きいので、違う押さえ方のほうが楽な場合は、自由に変えていただいて構いません。 図8 ダイアグラム (1) どの部分のダイアグラムか (2) フレット番号 (3) 指の動きを示す矢印 (4) 押さえた方がよい音 (5) 弾かないが押弦したまま ---------- 月 (p12) 01 月 The Moon  2007年夏に佐賀県立宇宙科学館で投影されたプラネタリウム番組「月〜地球の季節(とき)を知る〜」(制作:(有)スペースサイト)のメイン・テーマとして、ピアノで作曲。番組は月をテーマにした学術系のものだったので、メイン・テーマは逆に無機質にならないよう、情感が強めになるように作りました。  使用ギターはモーリスS131Mで、チューニングはドロップDです。プレイ・キーはAm(イ短調)ですが、オリジナルのキー(G#m/嬰ト短調)に合わせるために全弦を半音下げています。ですので実際のチューニングはD♭A♭D♭G♭B♭E♭となりますが、五線譜では通常のドロップD(DADGBE)として記譜してありますのでご注意下さい。普通のドロップDのまま弾いていただいて構いませんが、もしCDに合わせて練習/演奏される場合は、D♭A♭D♭G♭B♭E♭にチューニングすれば同じ音になります。 [Intro] [1] 次のAmmaj7への運指の都合から、Amは左手人差指を使わずに押さえています。 [A] [2] ダイアグラム譜ではカッコ付きで表記されている3弦2フレット・A音は、ピッキングはしませんが押さえています。 [3] 直前のAmで4弦2フレット・E音を押さえた左手中指は、ピッキングしませんが離さないでおきます(フォーム・チェンジ時の軸も兼ねています)。 [4] カッコ内の5弦開放・A音は、1回目のみ弾き、2回目(セーニョ1時)は弾いていません。ただし、特に意図がある違いではありませんので、どちらかに統一していただいて構いません。 [5] カッコ内の4弦2フレット・E音は、1回目はこの小節の3拍目で3弦1フレット・G#m音、5弦開放・A音と一緒に弾き、2回目(セーニョ1時)はそこで弾かずに4拍目で弾いています。 [6] 2回目(セーニョ1時)のみ、カッコ内の3弦開放・G音へのプリングを弾いています。 [B] [7] 左手薬指で部分セーハしています。難しい場合は、薬指で6弦3フレットだけ押さえ、左手中指で押さえた3弦2フレット・A音との2音だけを弾くようにしても構いません。 [8] カッコ内の3弦開放・G音は、1回目のみ弾き、2回目(セーニョ1時)は弾いていません。ただし、特に意図がある違いではありませんので、どちらかに統一していただいて構いません。 [9] この部分、1回目と2回目(Coda2の1〜2小節目)ではポジションと運指が異なっています。ただし、特に意図がある違いではありませんので、どちらか弾きやすい方に統一していただいて構いません。ちなみに私は、今は2回目の弾き方に統一して弾いています。 [C] [10] 伴奏パートが休符になっていますが、記譜の都合によるものですので、実際には6弦5フレット・G音を押さえたままにして、音を伸ばしておきます。 [11] ここまで演奏したら、[A]に戻ります(ダル・セーニョ1)。そして[A]7小節目を終えたらCoda1へ跳びます。 Coda1 [12] ここまで演奏したら、[B]に戻ります(ダル・セーニョ2)。そして[B]4小節目を終えたらCoda2へ跳びます。 [C2]  最後の小節以外は、ストロークによる演奏です(ただし、ウラ拍にメロディが来る部分は、単音でピッキングします)。高音弦を強めに弾き、メロディより高い弦は必ず消音しましょう(例えば1小節目・2拍目は2弦がメロディなので、1弦を消音)。難しい場合は、ストロークではなく[C]を繰り返しても構いません。 [13] 2弦は鳴らしたくないので、3弦5フレット・C音を押さえた左手薬指で触れて、消音します。5小節目も同様です。 [14] 1回目と3回目はメロディ(2弦5フレット・E音)のみ弾き(ピッキング)、2回目はメロディに加えてカッコ内の3弦5フレット・C音も弾いています(アップ・ストローク)。ただし、特に意図がある違いではありませんので、どちらか弾きやすい方に統一していただいて構いません。 [15] 5弦は鳴らしたくないので、6弦5フレット・G音を押さえた左手薬指で触れて、消音します。5小節目も同様です。 [16] 左手人差指で5フレットを部分セーハしますが、最初のAmでは1〜3弦を部分セーハし、コード・チェンジの直前に一旦セーハを離して、次のAm7では1〜4弦を部分セーハしています。最初から1〜4弦を部分セーハしておいてもよいでしょう。 [17] 5弦は鳴らしたくないので、6弦2フレット・E音を押さえた左手中指で触れて、消音します。または空いている左手薬指で5弦2フレット・B音を押さえ、鳴らしてもよいでしょう。 [18] 1回目のみカッコ内の5弦開放・A音も弾き、2回目と3回目は4弦2フレット・E音のみ弾いています(いずれもアップ・ストローク)。ただし、特に意図がある違いではありませんので、どちらか弾きやすい方に統一していただいて構いません。 [19] 2弦は鳴らしたくないので、3弦9フレット・E音を押さえた左手人差指(か、または1弦10フレット・D音を押さえた左手薬指の指先)で触れて、消音します。 [20] 1回目は4弦10フレット・C音のみ弾き、2回目は加えてカッコ内の5弦開放・A音も弾いています(いずれもアップ・ストローク)。ただし、特に意図がある違いではありませんので、どちらか弾きやすい方に統一していただいて構いません。 [D]  アルバムでは、Soundtoys社のEchoBoyというエコー/ディレイ・プラグインで、音を加工しています。同じフレーズの繰り返しですので、演奏する際に[D]が長すぎると感じるようでしたら、[D]を含む<カッコ1>をすべて省略して、[C2]6小節目の終わりからすぐに<カッコ2>へ跳んでもよいでしょう。 [21] 楽譜上側に記された“bis”は、囲われた範囲を1回繰り返すことを表しています。 [22] リピートで戻る直前、少しテンポを落としています(リピート後の[C2]から、インテンポに戻ります)。 [23] 2弦は鳴らしたくないので、3弦7フレット・D音を押さえた左手薬指で触れて、消音します。 [24] 4弦は鳴らしたくないので、5弦7フレット・E音を押さえた左手中指で触れて、消音します。 ---------- 星空はパラダイス (p19) 02 星空はパラダイス Universe Is Paradise  2004年12月に大阪のドリーム21で初投影された、星占いをテーマにしたプラネタリウム番組「星占いパラダイス」(制作:(有)スペースサイト)の主題歌として作曲。番組内では、声優で、Rita iotaのヴォーカルでもあるRitaさんに歌ってもらっています。  使用ギターはモーリスS121spで、チューニングはドロップDです。グライダー・カポ(写真)という、演奏中に移動させることができる特殊なカポを2フレットに付け、曲の途中で3フレットに移動しています。この曲を演奏する場合グライダー・カポは必須ですが、お持ちでない場合は途中でカポを移動させずに演奏しても、とりあえずは形になります。 写真  符頭が×印の音符はストリング・ヒットです。弦に、右手の指を叩く感じで乗せて、音を止めると同時に打音を出し、続いてその指で引っかけるように弦をピッキングして次の音を弾きます。  記譜の都合上やや煩雑になってしまっているので、進行順に曲の構成を見ておきましょう。全体としては、[A]→[A]→[B]→[B]→[C]→[C]→[A]→[A]→[B]→[C]→[C]→[D](途中で半音上に転調します)→[A]→[A]となっています。まず最初は、楽譜の通りに[A]→[A]の<カッコ1.3.5.>を弾き、リピートで[A]に戻ります。戻った後[A]の4小節目で<カッコ1.3.5.>ではなく<カッコ2.4.6.>に行き、そのまま[B]に進みます。[B]は<カッコ1>を弾いてからリピートで[B]の最初に戻り、その後で今度は<カッコ1>ではなく<カッコ2.3.>に行き、そのまま[C]へ進みます。[C]は<カッコ1.3.>を弾いてからリピートで[C]の最初に戻り、その後で今度は<カッコ2.4.>に行って、D.S.1で[A]の頭に戻ります(ダル・セーニョ1)。2回目の[A]は、1回目と同様に<カッコ1.3.5.>を弾き、リピートで[A]に戻って<カッコ2.4.6.>に行き、そのまま[B]に進みます。[B]は1回目と異なり、リピートせずに<カッコ2.3.>に行き、そのまま[C]へと進みます。[C]は<カッコ1.3.>を弾いてからリピートで[C]の最初に戻り、その後で今度は<カッコ2.4.>に行き、2小節弾いたらCoda1へ跳びます。Coda1では[D]を弾いて(途中で半音上に転調します)、D.S.2で[A]の頭に戻ります(ダル・セーニョ2)。3回目の[A]は1回目と同様に<カッコ2.4.6.>を弾き、リピートで[A]に戻って<カッコ2.4.6.>に行き、Coda2へ跳んで、そのまま終わります。 [A] [1] ストロークで弾きます。4弦と6弦は音を出したくないので、6弦は5弦3フレット・C音を押さえた左手人差指の先、4弦は同じく人差指の腹で触れて、消音します(3弦開放・G音は、鳴っても構いません)。2小節目の3拍目ウラ〜4拍目も同様です。 [2] 右手親指で5弦を叩き(そのまま指を弦に乗せておきます)、同時に右手中指で1〜3弦をダウン・ストロークします。次の小節(<カッコ1.3.5.>1小節目)の2拍目、<カッコ2.4.6.>1小節目の2拍目も同様です。 [3] 2弦3フレット・D音のメロディを止めないようにしつつ、右手親指で5弦を叩いて打音を出し(そのまま指を弦に乗せておきます)、叩いた指で引っ掛けるようにして次の5弦2フレット・B音を弾きます。 [4] 1拍目の2弦開放・B音は2回目(セーニョ1時)のみ弾き、1回目と3回目(セーニョ2時)は弾いていません。また2拍目ウラの3弦開放・G音は、1回目と3回目(セーニョ2時)のみ弾き、2回目(セーニョ1時)は弾いていません。ただし、いずれも特に意図がある違いではありませんので、どちらか弾きやすい方に統一していただいて構いません。 [5] 5弦は鳴らしたくないので、6弦を押さえた左手薬指で触れて、消音します。 [6] この小節は3回目(セーニョ2時)のみ、カッコで括られた部分を弾いています。ただし、特に意図がある違いではありませんので、どちらか弾きやすい方に統一していただいて構いません。 [7] 2弦は鳴らしたくないので、3弦を押さえた左手人差指で触れて消音します。 [8] 2弦は鳴らしたくないので、3弦を押さえた左手薬指で触れて消音します。 [9] 最初のGsus4からGへのコード・チェンジでは、6弦を押さえる左手の指を変えています(中指→薬指)ので、2拍目の4弦開放・D音を弾くタイミングで左手全体を一旦離して、押さえ直します。この時、ストロークが3弦や5弦に当たっても構いません。また、Gsus4、Gともに5弦は鳴らしたくないので、6弦を押さえた左手の指で触れて、消音します。さらにGsus4の時は2弦を鳴らしたくないので、3弦を押さえた左手の指で触れて消音します。 [B] [10] この小節は2回目(セーニョ1時)のみ、カッコで括られた部分を弾いています。ただし、特に意図がある違いではありませんので、どちらか弾きやすい方に統一していただいて構いません。 [11] 3弦開放・G音は、1回目と3回目(セーニョ2時)のみ弾き、2回目(セーニョ1時)は弾いていません。ただし、特に意図がある違いではありませんので、どちらかに統一していただいて構いません。 [12] [2]同様、右手親指で5弦を叩いて打音を出し(そのまま指を弦に乗せておきます)、同時に右手中指で1〜3弦をストロークします。 [13] 4弦2フレット・E音は1回目のみ弾き、2回目(セーニョ1時)と3回目(セーニョ2時)は弾いていません。ただし、特に意図がある違いではありませんので、どちらかに統一していただいて構いません。 [14] 1拍目の2弦開放・B音は3回目(セーニョ2時)のみ弾き、1回目と2回目(セーニョ1時)は弾いていません。また2拍目ウラの3弦開放・G音は、1回目と2回目(セーニョ1時)のみ弾き、3回目(セーニョ2時)は弾いていません。ただし、いずれも特に意図がある違いではありませんので、どちらか弾きやすい方に統一していただいて構いません。 [15] 1回目は2弦3フレット・D音をストロークし、2回目(セーニョ1時)は3〜4弦開放をストロークしています。ただし、特に意図がある違いではありませんので、どちらかに統一していただいて構いません。 [C] [16] 6弦は鳴らしたくないので、右手の親指を乗せるか左手の親指でネックを握り込んで消音します。1弦は、鳴ってしまっても構いませんが、メロディが始まる時に切れるのが嫌なので、ストロークが当たらないようにします(その結果、2弦の音が鳴らなくても構いません)。 [17] 次のAmを準備するため、3弦6フレット・C#音と4弦7フレット・A音を押さえておき、その形のままスライドさせてAmに移行します。 [18] 6弦は鳴らしたくないので、右手の親指を乗せて消音します。2弦も鳴らしたくないので、3弦を押さえた左手中指で触れて消音します。 [19] 2〜3拍目の1弦は鳴らしたくないので、2弦を押さえた左手の指で触れるか、右手のストロークに使っていない指(中指など)を弦に引っ掛けて消音します。5、6弦開放(4拍目は4〜6弦開放)は、鳴っても構いません。 [20] この小節は2回目(セーニョ1時)のみ、カッコで括られた部分を弾いています(オリジナル・ヴァージョンのメロディの違いを反映させた、意図的なものです)。 [21] この小節は2回目(セーニョ1時)のみ、カッコで括られた部分を弾いています。このうちB7(onA)では1、3、6弦を鳴らしたくないので、1弦は2弦を押さえた左手薬指、3弦は4弦を押さえた左手中指で消音し、6弦は右手の親指を乗せるか左手の親指でネックを握り込んで消音します。 [22] 3弦は鳴らしたくないので、4弦を押さえた左手中指で触れて消音します。6弦も鳴らしたくないので、右手の親指を乗せるか左手の親指でネックを握り込んで消音します。 [23] 左手のポジションを移動中にストロークした結果、ブラッシングになっています。左手で弦に触れておき、明確な音が出ないようにするか、このウラ拍はストロークせずに休符としても構いません。 [24] ストロークのたびに押弦した左手を緩め、音を切るようにして弾きます(スタッカート)。4弦は鳴らしたくないので、1〜3弦を部分セーハした右手人差指の先で触れて消音します。5弦開放は6弦7フレットと同じA音なので鳴っても構わないのですが、音を短く切りたいので、6弦7フレット・A音を押さえた左手薬指で触れて消音します。 [25] ここまで演奏したら、[A]に戻ります(ダル・セーニョ1)。そして再度[C]まで進んだら、<カッコ2.4.>2小節目を終えた後にCoda1へ跳びます。 Coda1 [26] こちらは[24]と違って音を切らず、伸ばしたまま弾きます。 [27] 低音弦を狙ってストロークします。厳密なものではありませんので、4〜5弦開放などが鳴っても構いません。 [D] [28] 1弦7フレット・B音を押さえた左手小指を軸に、グリス・ダウンさせて次のCmaj7へ移行します。 [29] 6弦は鳴らしたくないので、左手親指でネックの上側から握りこんで触れて、消音します。 [30] このあたりで、グライダー・カポを2フレットから3フレットへ移動します。右手は軽くストロークしながら、左手は押さえたB♭maj7のうち1フレットをセーハした左手人差指を外して、左手親指でカポを移動させます(この時ストロークを、セーハを離した1弦や5弦に当てないように注意しましょう)。ちなみに、小節最後の2弦開放・B音を弾くのは、既にカポが3フレットに移動した後ということになります。 [31] 軽くアップ・ストロークします。5〜6弦開放は鳴っても構いませんが、2弦開放は鳴らしたくないので、3弦5フレット・C音を押さえた左手薬指で触れて消音します。 [32] 6弦開放・D音は、鳴ってしまっても構いません。また、押弦の都合で4弦開放・D音が鳴らなくても構いません。 [33] ここまで演奏したら、[A]に戻ります(ダル・セーニョ2)。この時、[A]は3カポ、すなわち曲の最初より半音高い状態で演奏することになります。そして1回[A]をリピートした後、[A]終盤のD7を終えた後にCoda2へ跳びます。 Coda2 [34] ここは伴奏のみですが、直前の小節でメロディだった1弦3フレット・G音を鳴らしたくないので、右手を1弦に当てないようにストロークします(その結果、ストロークが2弦に当たらなくても構いません)。あるいは、左手の指の付け根(または余っている指)で触れるか、ストロークに使っていない右手薬指などを弦に乗せて、消音してもよいでしょう。また、前の小節を含め、Gsus4とGの5弦とGsus4の2弦は、[9]と同様に消音します。 写真 日本音響家協会東日本支部さん主催の「フィールドレコーダー タッチ&トライ」の様子(2011年7月5日) ---------- 出会い (p26) 03 出会い Encounter  2008年に兵庫県姫路科学館で投影されたプラネタリウム番組「地球人をさがせ!」(制作:(有)スペースサイト)のサウンドトラックとして、ギターで作曲しました。「地球人をさがせ!」は、宇宙人さがしを夢見る少年コウと親友の少女ルル、そして宇宙人なんていないと言い張る少年マーサ。3人の衝突と芽生える友情、そしてその30年後を描いた物語。この「出会い」は物語冒頭で、主人公3人と天文学者の博士が出会うシーンのために書いた曲です。オリジナル・サウンドトラック・アルバムでの原題は「博士との出会い(Doctor and Kou)」 。  使用ギターはHISTORY NT501M。チューニングはドロップDで、3フレットの全弦と、5フレットの2〜6弦にカポを付けています(写真)。5フレットのカポは1弦を空けておかなければならないのですが、片側から止める形であれば普通のカポでも付けることができます(5本の弦だけを押さえる専用のカポも市販されていますし、バンジョー用のカポを使っても同じ事ができます)。ちなみに私はshubb社製の、普通の6弦用カポを使用しています。 写真  TAB譜で1弦0フレットと記された部分([Intro]冒頭など)は開放弦を表し、そのまま押さえずに1弦を弾きます。この場合、5フレットのカポは1弦を空けてありますので、3フレットに付けられたカポで押さえられた部分が鳴ります。  [C]は、作曲時には無かったセクションで、このアルバムのために書き足しました。「地球人をさがせ!」のサウンドトラックであるという“しるし”を残したかったので、同番組のメイン・テーマのメロディを編み込んでいます。 [Intro] [1] 5弦開放・A音を弾く時点で、可能であれば響いていた6弦開放・D音を、押弦に使っていない左手人差指か右手親指の背(爪側)で触れて、消音します。続いて6弦開放・D音を弾く時点で、5弦を左手人差指で触れて消音します。他の1〜3弦と、上記以外の6弦は、[Intro]4小節目の3拍目でピタッと止めるまで、響かせておきます。 [A] [2] 符頭が×印の音符はストリング・ヒットです。弦に、右手の指を叩く感じで乗せて、音を止めると同時に打音を出し、続いてその指で引っかけるように弦をピッキングします。ただしこの部分は、打音よりも消音のために行っていますので、打音が出なくても構いません。3小節目も同様です。 [3] 3弦開放・G音は、1回目と2回目(リピート時)は弾かず、3回目(セーニョ1時)のみ弾きます。 [4] 1弦7フレット・B音と8フレット・C音でメロディを弾いていますが、音を出している時以外は左手小指を離して、音を鳴らさないようにします。具体的には、[B]冒頭でメロディが3弦7フレット・D音に移行した時には左手小指を離し、次に1弦7フレット・B音を弾く時点で改めて押さえ直します。[B]4小節目後半〜5小節目も同様です。 [B] [5] この小節は3回目(セーニョ2時)のみ、カッコで括られた部分を弾いています。ちなみに2回目(セーニョ1時)は最初のCmaj7をクイック・アルペジオで弾いていますが、特に意図がある違いではありませんので、どちらかに統一していただいて構いません。 [6] 1弦3フレット・G音を押さえていた左手中指は、小指で5〜7フレットを押さえた後も押さえ続けておくと、スライドの支えにもなりますし、スライドの後に中指で押さえた5フレットを弾く時に、改めて押さえ直す必要がなくなります(小指を離すだけでOK)。また、左手小指が1弦7フレット・B音にスライド・アップする時点で、5弦3フレット・C音を押さえた左手人差指を離しています(2〜3弦開放は伸ばしておきます)。 [7] Dの6弦開放・D音を弾く時点で、それまで伸ばしていたCmaj7の2〜3弦開放を止めたいので、空いた左手人差指で1〜5弦に触れて消音します(写真)。ただし1弦は人差指より高いポジションを中指で押さえているので、音は止まりません。 写真 [8] 右手親指で6弦を叩いて打音を出し、そのまま指を弦に乗せておきます。同時に1弦も右手薬指を乗せるなどして、メロディも止めます。実際には、[7]での2〜3弦消音が上手く行かない場合を考え、全弦に触れて消音するとよいでしょう。 [9] 左手薬指で押さえた3弦4フレット・B音は、左手小指で押さえた3弦5フレット・C音を弾く間も押弦したままにします。また、両方とも、2弦開放・B音を弾く時点で離します。 [10] 1拍の間に5つの音を弾きます(5連符)。難しい場合は2+3に分け、タラ+タララのように考えてもよいでしょう。 [11] ここまで演奏したら、[A]に戻ります(ダル・セーニョ1)。そして再度[B]まで進んだら、7小節目を終えた後にCoda1へ跳びます。 [C] [12] [1]と同様、5弦開放・B音を弾く時点で、可能であれば響いていた6弦開放・D音を、左手の空いた人差指か右手親指の背(爪側)で触れて、消音します。続いて6弦開放・D音を弾く時点で、5弦を左手人差指で触れて消音します。 [13] ここまで演奏したら、[B]に戻ります(ダル・セーニョ2)。そして7小節目まで弾いた後、Coda2へ跳びます。 写真 ライヴ at 佐賀・浪漫座 (2011年9月3日) ---------- リトル・マーメイド (p30) 04 リトル・マーメイド Little Mermaid  ぞんぞんプロデュースの演劇「リトル・マーメイド」のメイン・テーマとして、ピアノで作曲。このお芝居は、人魚伝説が語り継がれる島を舞台に繰り広げられる哀しい恋の物語で、改訂・改題されつつ何度か再演されました。この曲は、そのうち第15回公演の「リトル・マーメイド'90」(1989年12月/田端die pratze)と第18回公演の「ラブ・スターズ・デイ」(1991年7月/六本木アトリエ・フォンテーヌ)で使用しています。またその後、私が音楽を担当した日本テレビの「Neo Hyper Kids」CGアニメスペシャル第1話「人魚姫」(1995年4月放送)でも、中心モチーフとして使用しています(ピアノ・ソロによるサウンドトラックは、アルバム『Piano Solos』に収録)。  使用ギターはミニ・ギターのタコマP1(パプーズ)で、チューニングはドロップDです。普通のギターで演奏する場合は、7フレットにカポを着けることでCDと同じ音の高さになります(アルバムの録音時は、パプーズをF#C#F#BD#G#にチューニングし、3カポで弾いています)。ただし、この曲は1〜2弦10フレット(すなわち、実質的には17フレット)まで使いますので、カッタウェイではないギターなど、ハイ・ポジションが弾きづらい場合は、カポの位置を3〜5フレットあたりに下げていただいて構いません。  3拍子で、かつシャッフルのリズムで演奏します。特に[A]1〜4小節目など、3拍目に弾く音が無い小節はリズムが取りづらいと思いますので、しっかり頭の中で3拍目を意識しましょう。難しい場合は、[A2]と同じように弾いても構いません。 [A] [1] 4〜6弦3フレットの部分セーハが難しい場合は、3フレットを全セーハにして、E音を1弦開放の代わりに2弦5フレットで弾いてもよいでしょう(その場合、左手小指を移動させて、2弦5フレットと1弦5フレット・A音を弾きます)。[A2]5小節目も同様です。 [2] Bm7(♭5)が押さえづらかったり、直前のCからスムーズに移行できない場合は、3弦2フレット・A音を省略し、4弦3フレット・F音を左手小指ではなく薬指で押さえるようにしても構いません。[A2]7小節目も同様です。 [3] 左手薬指による4〜6弦3フレットの部分セーハが難しい場合は、一音ずつ個別に押さえてもよいですし、あるいは4弦3フレット・F音を省略して、6弦3フレット・F音と5弦3フレット・C音だけを個別に押さえてもよいでしょう。 [4] ダイアグラムでは個別に押さえるよう記譜してありますが、たとえば左手人差指で部分セーハしても構いません。 [B] [5] [1]と同様に、4〜6弦3フレットの部分セーハが難しい場合は、3フレットを全セーハにしてE音を1弦開放の代わりに2弦5フレットで弾いてもよいでしょう(その場合、左手小指を移動させて、2弦5フレットと1弦5フレット・A音を弾きます)。 [6] この小節の最初に弾いた6弦5フレット・G音を伸ばしておきたいので、3弦を使ってプリング〜ハンマリングしていますが、そのため次のEm7(<カッコ2.4.>ではE7)への移行が難しくなっています。弾きづらい場合は6弦5フレット・G音を伸ばすのを諦め、3弦の代わりに2弦1フレット・C音〜開放・B音を左手人差指でプリング〜ハンマリングしても構いません。 [7] この小節は2回目(セーニョ時すなわち2コーラス目、のリピート時)のみ、カッコで括られた部分を弾いています。また、2回目では2拍目を伸ばして、少し間をとります。 [8] 直前のAmからは、3弦2フレット・A音を押さえた左手薬指を軸にして、移行します。 [9] 7フレットのセーハは、全セーハでも構いません。もしセーハしづらければ、3弦7フレット・D音のみ押さえ、4弦は7フレット・A音の代わりに開放・D音を弾いてもよいでしょう。 [10] 6弦3フレット・F音は左手小指で押さえますが、直前のB♭maj7からの移行が難しかったり、押弦しにくい場合は、6弦3フレットを左手薬指で押さえ、3弦2フレット・A音を押さえずに、4弦2フレット・E音と5弦開放・A音を弾いてもよいでしょう。 [11] ここまで演奏したら、[A2]に戻ります(ダル・セーニョ)。そして再びここまで来たら、もう一度[A2]に戻ります。そして、[A2]の<カッコ2.4.6.>1小節目を終えた後、Codaへ跳びます。 Coda [12] 3弦2フレット・A音は、最初にここを弾く時はメロディですが、リピートした後は伴奏の一部として弾きます。 [13] ここまで演奏したら、Codaの最初に戻ります。アルバムでは、この部分を何度か繰り返してフェード・アウトしていますが、実際に演奏する際には2回程度繰り返して、最後の小節(D7(onA))でテンポを落とし(リタルダンド)、3拍目を弾かずに2拍目で終えればよいでしょう。 ---------- Uncle Tom’s Cabin (p30) 05 Uncle Tom’s Cabin  1993年に荻窪・アールコリンで上演された、劇団キャプテン・チンパンジーの演劇「JANE」のサウンドトラックとしてピアノで作曲。物語はアメリカの南北戦争をモチーフに、遙かな未来の惑星アメリアにおけるクローン解放戦争を描いたお芝居で、この曲は「アンクル・トムの小屋」という酒場でのダンス・シーン用に書いたものです(ですので、ストウ夫人の同名小説とはまったく関係がありません)。後にピアノ・ソロにアレンジして、私が音楽を担当した無声映画「愚かなる妻(1922年制作)」のTV放送用サウンドトラックでも使用しています(このピアノ・ソロ・ヴァージョンは、「街」というタイトルでアルバム『Piano Solos vol.2 +』に収録されています)。  使用ギターはHISTORY NT501Mです。チューニングはドロップD相当で、オリジナルのキーに合わせるため、全弦を半音下げて(D♭A♭D♭G♭B♭E♭)カポを2フレットに付けています。そのため、ドロップDの1フレットにカポを付けたのと同じことになります。  ストロークしている部分([A]4小節目途中など)以外の伴奏パートは、右の手のひらの小指側側面を使ってブリッジ近くで弦に触れることで、わざと音を詰まらせる“ミュート奏法”で弾きます。 [A] [1] ストロークは右手人差指などで軽く行い、また最初のストローク以外(すなわちスラッシュで記されている部分)は、記譜されたすべての音が鳴らなくても構いません。<カッコ1.3.5.>の2小節目と[B2]4小節目も、同様です。 [2] 6弦は、ネックを握りこんだ左手親指で押さえます。 [B] [3] 3弦7フレット・D音は、ピッキングはしませんが、余力があれば押さえておきます。[B2]3小節目も同様。 [4] 運指の都合から、左手は直前のE7から指を変えて押さえ直します。[B2]4小節目も同様です。 [5] 6弦は鳴らしたくないので、左手親指でネックの上側から握りこんで触れて、消音します。また、ストロークの直後に右手親指を2〜6弦に乗せて、音を短く切ります。7小節目も同様です。 [6] 6弦は鳴らしたくないので、[5]と同様に左手親指でネックの上側から握りこんで触れて、消音します。また、メロディである3弦より高い弦は鳴らしたくないので、右手中指を乗せるなどして消音します。 [B2] [7] GとG#はストロークした後、すぐに押弦した左手を緩めて、音を短く切ります。また次のAも含め、5〜6弦は鳴らしたくないので、ストローク時に右手親指を5弦に乗せておきます。 [8] ここまで演奏したら、[A]に戻ります(ダル・セーニョ)。そして[A]を繰り返したら、6小節目の後でCodaへ跳びます。 ---------- 故郷への長い道 (p30) 06 故郷への長い道 The Planets  2006〜2007年に東京・多摩のベネッセ・スタードームで投影されたプラネタリウム番組「プラネット・ワンダーランド」(制作:(有)スペースサイト)のメイン・テーマとして、ギターで作曲。番組は太陽系をテーマにした学術系のもので、メイン・テーマは「月」と同様無機質にならないよう、優しげなイメージで作りました。2011年発表のソロ・ギター・アルバム『いのり 〜guitar』には、「惑星」という題でサビ前までのヴァージョンを収録しています。  使用ギターはモーリスS131M。チューニングはドロップDで、2フレットの2〜6弦にカポを付けています(写真)。カポは1弦を空けておかなければならないのですが、片側から止める形であれば普通のカポが使えます(5本の弦だけを押さえる専用のカポも市販されていますし、バンジョー用のカポを使っても同じ事ができます)。ちなみに私はshubb社製の、普通の6弦用カポを使用しています。 写真  TAB譜で1弦0フレットと記された部分([Intro]2小節目の4拍目など)は開放弦を表し、そのまま押さえずに1弦を弾きます。 [Intro]  [Intro]や、ほぼ同じフレーズの[Inter]、[Inter 2]、[Inter 3]、[Ending]は、GからA(onG)へのコード・チェンジ時に、2弦開放・B音を消音せずに響かせたまま弾きます。 [1] この部分も消音せずに、1〜4弦の音が重なるように弾きます。 [A] [2] 左手人差指に関して、ダイアグラムには最初は指頭で6弦だけ押さえ、途中で部分セーハするように記してありますが、最初から部分セーハで押さえても構いません。 [C] [3] 左手人差指は、最初は指頭で3弦2フレット・A音だけを押さえ、次に指頭で弦を押さえたまま部分セーハするように指を倒して、ハンマリングします。そのすぐ後で1弦開放を弾くので、指を起こして再び指頭で3弦だけを押さえた状態にします。 [4] 難しい場合は、1弦開放でも同じD音が出せますので、そちらで弾いてもよいでしょう。 [D] [5] ピッキングはしませんが、直前で弾いた4弦開放を止める意味もあって、4弦7フレット・A音を左手薬指で押さえておきます。 ---------- 忘却の夜 (p44) 07 忘却の夜 Main title of “Nightmare Project YAKATA”  1998年6月に発売された、ミステリ作家・綾辻行人さんの原作・原案・脚本・監修によるプレイステーション用RPG「ナイトメア・プロジェクト YAKATA」の主題歌。物語は、孤島の屋敷に招待された“悪夢を見る力”を持つ古我ユキヤら4人が悪夢との戦いに巻き込まれてゆく…というもので、私がサラリーマンを辞めて音楽一本で生きていく契機となった仕事でもあり、ツマと出会うきっかけになった仕事でもあって、私の人生において非常に重要な作品でした。この曲はメイン・テーマとしてピアノで作曲したものですが、綾辻さんが後からこの曲に付けて下さった歌詞のタイトルが「忘却の夜」で、ここではそれを正題にしています。  使用ギターはYOKOYAMA AR-WH-299。チューニングはドロップDで、6フレットにカポをつけています。 [Intro] [1] メロディである3弦2フレット・A音は次の小節まで伸ばし、伴奏の3弦開放・G音を弾く時点で、押さえていた左手中指を離します。 [2] 直前の4弦2フレット・E音から3弦2フレット・A音に左手中指を移動させる際、2弦1フレット・C音を左手人差指で押さえたままにして、軸に使います。続く1弦3フレット・G音から1フレット・F音へのプリングを弾く際は、中指で3弦2フレットを押さえたままにして軸に使います。あるいは、4弦2フレットを中指で押さえたままにし、3弦2フレットは薬指で押さえても構いません。 [A] [3] 直前のDm7(9)からB♭maj7への移行は、3弦2フレット・A音を押さえた左手薬指を軸にして行います。 [4] 4弦2フレット・E音から開放・D音へのプリングは、2弦1フレット・C音を左手人差指で押さえたままにして支えに使います(ただし私は、音が重ならないように2弦1フレットを右手で消音しています)。 [5] ダイアグラムには図示してありませんが、余力があれば1弦開放・E音を弾く時点で、2弦6フレット・F音を押さえた左手中指を一旦離して、次に弾く時に再度押さえ直してやると、比較的簡単に消音ができます。 [6] 2弦8フレット・G音から6フレット・F音へのプリングは、1弦8フレット・C音を左手人差指で押さえたままにして軸に使います(ただし私は、音が重ならないように1弦8フレットを右手で消音しています)。 [B] [7] カッコ内の3弦開放・G音は、1回目のみ弾き、2回目は弾いていません。ただし、特に意図がある違いではありませんので、どちらか弾きやすい方に統一していただいて構いません。 [8] 2弦3フレット・D音は、直前でメロディとしても弾きますが、ここでは伴奏なので、メロディより弱く弾くように心がけましょう。10〜11小節も同様です。 [9] カッコ内の3弦開放・G音は、1回目は弾かず、2回目のみ弾いています。ただし、特に意図がある違いではありませんので、どちらか弾きやすい方に統一していただいて構いません。 [10] カッコ内の4弦1フレット・E♭音は、1回目は弾かず、2回目のみ弾いています。ただし、特に意図がある違いではありませんので、どちらか弾きやすい方に統一していただいて構いません。 [11] 伴奏が、メロディである3弦2フレット・A音より高い音域に行きますので、強く弾きすぎないように注意しましょう。4弦のハンマリングも同様に、強くならないよう注意して下さい。 [12] カッコ内の3弦開放・G音は、1回目は弾かず、2回目のみ弾いています。ただし、特に意図がある違いではありませんので、どちらか弾きやすい方に統一していただいて構いません。 [13] カッコ内の4弦1フレット・E♭音は、1回目は弾かず、2回目のみ弾いています。ただし、特に意図がある違いではありませんので、どちらか弾きやすい方に統一していただいて構いません。 [14] カッコ内の2音は、1回目は弾かず、2回目のみ弾いています。ただし、それほど意図がある違いではありませんので、どちらか弾きやすい方に統一していただいて構いません。 [15] 伴奏がメロディより高い音域に行きますので、強く弾きすぎないように注意しましょう。 [16] ここまで演奏したら、[A]に戻ります(リピート)。そして[B]14小節目を終えたら、Coda1へ跳びます。 Coda1 [17] ここまで演奏したら、[C]に戻ります(ダル・セーニョ)。そして[C]8小節目を終えたら、Coda2へ跳びます。 ---------- かに座ですカニ。 (p49) 08 かに座ですカニ。 Aries, Taurus, Gemini, Cancer and Leo  2曲目の「星空はパラダイス」と同じく、2004年12月初投影の、星占いをテーマにしたプラネタリウム番組「星占いパラダイス」(制作:(有)スペースサイト)のサウンドトラックとして作曲しました。巫山戯たタイトルですが、もともとのサウンドトラック・アルバムの時からこの題だったのです(たしか番組の台本にあった、かに座のセリフからいただいた記憶が…)。  使用ギターはHISTORY NT501M。チューニングはドロップDで、2フレットにカポをつけています。1コーラス目と2コーラス目では少し演奏が違っていますが、楽譜では煩雑になるのを避けるため繰り返し時の差異を多少省略し、ある程度リピートで纏めて記譜してあります。  主にストロークで演奏していきますので、鳴らしたくない音、特にメロディより高い音域の音を鳴らさないように注意しましょう。逆に伴奏パートは、記譜されたすべての音が鳴らなくても(少し音が欠けても)構いません。また曲全体で、少しだけ十六分でハネています(シャッフル)。 [Intro] [1] 5弦は鳴らしたくないので、6弦5フレット・G音を押さえた左手中指で触れて、消音します。以降のGも同様。 [2] 押弦していた左手を離し、次のCへの移動を準備します。右手は、2〜3弦を狙って(4弦は鳴ってもOK、他の弦には触れないよう注意)軽くアップ・ストロークします。 [3] 3弦は鳴らしたくないので、4弦4フレット・F#音を押さえた左手中指で触れて、消音します。 [4] 1〜2小節目を繰り返します。 [A] [5] Cのコードを響かせたまま、メロディは短く切りながら弾いて行きます(私は右手で音を止めています)。最後の4弦開放・D音の時点で、押弦していた左手を離します。 [6] ここは4弦が一番高い音になるので、3弦より高い弦は弾かないように注意して下さい。ちなみに私は3弦に右手中指を乗せて、消音しています。[A]4小節目全体も、同様です。 [7] [3]と同様に3弦は鳴らしたくないので、4弦4フレット・F#音を押さえた左手中指で触れて、消音します。 [8] 押弦していた左手を離し、次のCへの移動を準備しています(演奏上の“息つぎ”のようなものです)。 [9] ここの次のコードも同じCですが、セクションの変わり目でもあるので、一旦左手を離して“息つぎ”の開放弦を入れています(強く弾く必要はありません)。 [B] [10] 1弦2フレット・F#音は、それまで4弦2フレット・E音を押さえていた左手中指を移動して押弦します。この後も4弦2フレットは弾くので、メロディが1弦3フレット・G音に移行したらすぐに中指を4弦2フレットへ戻します。5小節目も同様です。 [11] Gのコードを響かせたまま、メロディは短く切りながら弾いて行きます(私は、右手で音を止めています)。 [12] 運指の都合から、6弦5フレットを押さえる指を、Gの途中で左手人差指から薬指へバトンタッチしています。あるいは、左手親指でネックを握り込んで押さえても構いません(その場合は5弦も左手親指で触れて消音します)。またこの小節は、2回目(リピート時)のみ、カッコで括られた部分を弾いています。ただし、特に意図がある違いではありませんので、どちらか弾きやすい方に統一していただいて構いません。 [13] ここまで演奏したら、[A]に戻ります(ダル・セーニョ)。そして再度ここまで来たら、Codaへ跳びます。 Coda  左手で全弦に触れてミュートしながら右手でストロークすることで、ノイズのような音を出しています(ブラッシング)。左手は、ハーモニクスの出やすい5フレットや7フレットを避け、また左手人差指+薬指+小指など、複数の箇所で触れておきます([14]も参照)。右手は低音弦を狙ってストロークします。 [14] 左手で弦を叩いて打音を出しています(L.H./レフト・ハンド)。ミュートに使っている左手人差指、薬指、小指のうち、直前のダウン・ストロークでは薬指+小指を一旦浮かせて人差指だけで弦に触れるようにし、L.H.の時点で薬指+小指を使って弦を叩きます。シャッフルによるツッチャ・ツッチャというダウン〜アップ・ストロークの、ちょうど真ん中にL.H.が来るよう(ツ「ク」チャの「ク」がL.H.)タイミングを計って叩きます。 写真 千葉市民大学・芸術文化学科の講義「ソロ・ギターの魅力」(2012年7月10日) ---------- Mimasaka (p54) 09 Mimasaka  1999年に新宿のシアター・モリエールで上演された、劇団てぃんか〜べるの「魍魎の匣」(原作:京極夏彦さん)のサウンドトラックとして、ピアノの即興演奏に近い形で作曲しました。タイトルは、登場人物の一人である美馬坂から来ています。  使用ギターはYOKOYAMA AR-WH-299。チューニングはドロップDで、カポは使用していません。全体としてルバート気味(自由なテンポ)の演奏で、メロディとメロディの合間は、本来の拍数よりも少し長めに音を伸ばしています。 [A] [1] 次のBmは、この3弦2フレット・A音を離さずに軸として使って弾きます。 [2] この小節は4回目(セーニョ2時)のみ、カッコで括られた部分を弾いています。ただし、特に意図がある違いではありませんので、どちらか弾きやすい方に統一していただいて構いません。 [3] 1回目と2回目(リピート時)は2弦開放・B音を弾き、3回目(セーニョ1時)はカッコ内の1弦開放・E音を弾いています。ただし、特に意図がある違いではありませんので、どちらか弾きやすい方に統一していただいて構いません。 [B] [4] 左手をかなり開くフォームですので、難しい場合はベース音を5弦3フレットの代わりに6弦10フレットで押さえてもよいでしょう。その場合、1弦7フレット・B音は[B]の直前から左手人差指で押さえ、6弦10フレットは左手薬指で押さえます([B]7小節目冒頭のCmaj7と同じフォームです)。 [5] 直前に押さえていた1弦2フレット・F#音を離さず軸にして、2弦5フレット・E音を押さえます。 [6] 左手人差指で5フレットを部分セーハしたまま、左手小指で1弦10フレット・D音を押さえます。届かない場合はセーハを離して、小指単独で押さえてもよいでしょう。ただしその場合、小節最後の3弦5フレット・C音は弾かないようにします。 [7] ここまで演奏したら、[A]に戻ります(ダル・セーニョ1)。そして[B]6小節目を終えたら、Coda1へ跳びます。 Coda1 [8] ここまで演奏したら、[A]に戻ります(ダル・セーニョ2)。そして[A]<カッコ2.3.4.>1小節目を終えたら、Coda2へ跳びます。 [9] ここから最後まで、ナチュラル・ハーモニクスだけで弾きます。ハーモニクスはメロディですが消音はせず、できるだけ音が重なるように弾きます。左手が隣の弦に触れて音を止めてしまわないように注意しましょう。また、左手の移動が間に合わない場合、ここから先全体のテンポを大きく落としてもよいでしょう。 ---------- 聖歌 (p58) 10 聖歌 Hymn  1993年に荻窪・アールコリンで上演された、劇団キャプテン・チンパンジーの演劇「ジャンヌ・ダルク」のサウンドトラックとして、ピアノで作曲しました。「ジャンヌ・ダルク」は、フランスの王子に恋しジャンヌ・ダルクとして陸に上がった人魚姫の、哀しい愛の物語でした。この曲はラストシーン近く、ジャンヌが処刑台に向かうシーン用に書いたものです(実際の公演では未使用)。あまりギター向きの楽曲ではありませんが、自分の中では次に収録されている「ジャンヌ・ダルク」と対になっているので、今回ソロ・ギター・アレンジしてみました。  使用ギターはYOKOYAMA AR-WH-299。チューニングはドロップDで、3フレットの全弦と、5フレットの2〜6弦にカポを付けています(写真)。5フレットのカポは1弦を空けておかなければならないのですが、片側から止める形であれば普通のカポが使えます(5本の弦だけを押さえる専用のカポも市販されていますし、バンジョー用のカポを使っても同じ事ができます)。ちなみに私はshubb社製の、普通の6弦用カポを使用しています。 写真  TAB譜で1弦0フレットと記された部分([A]1小節目最後の音など)は開放弦を表し、そのまま押さえずに1弦を弾きます。この場合、5フレットのカポは1弦を空けてありますので、3フレットに付けられたカポで押さえられた部分が鳴ります。  [A]から[C]まではリズムを刻む音が無いので、頭の中でしっかり八分(音符)を意識して弾きましょう。そうしないと、特に付点二分音符だけの小節([A]2〜4小節目など)の長さがまちまちになってしまいます。 [A] [1] 直前まで押さえていた左手人差指の部分セーハを離し、1弦開放・D音(ここだけ5フレットのカポが空いているため、本来の開放より全音低い音になっています)を弾きます。 [2] 直前に弾いたメロディの1弦開放・D音は、左手の指の付け根か、右手の小指で触れて消音します。私は普段から右手小指をギターの表板に付けているので、付けたまま移動して1弦に触り、響きを止めるようにしています。 [Ending] [3] アルバムでは、この部分を何度か繰り返してフェード・アウトしていますが、実際に演奏する際には、1回弾いてリピートした後の1小節目からテンポを落とし(リタルダンド)、2小節目の最初のコード(Am7(9)(onD))を伸ばして、そこで終えればよいでしょう。 ---------- ジャンヌ・ダルク (p62) 11 ジャンヌ・ダルク Jeanne D’Arc  10曲目の「聖歌」(p58)と同じく、演劇「ジャンヌ・ダルク」のメイン・テーマとして、ピアノで作曲。このお芝居は何度か再演されており、1995年の再演時は池袋のシアターグリーンという劇場に、コンピューター(mac、たぶんIIciか8100/80AV)とシンセサイザーを持ち込んで、生演奏で音を付けていました。  使用ギターはモーリスS131Mで、チューニングはドロップDのカポ2です。 [A] [1] 3弦2フレットを押さえた左手人差指を離さず軸にして、続く[A]1小節目を弾いて行きます。Dの2弦3フレット・D音はここでは弾きませんが、似たフレーズである3小節目などでは弾きますので、押さえるようにしておくとよいでしょう。 [2] 伴奏なので、強く弾きすぎないように注意しましょう。速すぎて難しい場合は、省略して構いません。 [3] 3弦2フレット・A音は弾きませんが、余力があれば押さえておくとよいでしょう。 [4] 直前で弾いた、4弦開放・D音を止めるのも兼ねて、2〜4弦2フレットを部分セーハで押さえています。難しかったり、1弦や5弦に触ってしまうようでしたら、3弦2フレット・A音だけをセーハせずに押さえ、4弦は別の方法で止めるようにしてもよいでしょう。 [5] 2弦3フレット・D音と3弦2フレット・A音は弾きませんが、余力があれば押さえておくとよいでしょう。また、5弦4フレット・C#音と6弦開放・D音は重なると汚いので、6弦開放は5弦4フレットを弾く時点で、左手親指でネックを握り込むか右手親指の背(爪側)で触れて、消音します。 [B] [6] 4弦7フレット・A音は弾きませんが、余力があれば押さえておくとよいでしょう([B2]と[B3]の当該箇所では、弾いています)。5小節目も同様です。 [7] 2弦5フレット・E音と4弦7フレット・A音は弾きませんが、余力があれば押さえておくとよいでしょう([B2]と[B3]の当該箇所では、弾いています)。 [8] Bmを押さえたまま、左手小指で2弦10フレット・A音を押さえ、続いて小指を1弦10フレット・D音に移動して弾きます。 [9] 直前のDからは、1弦5フレット・A音を押さえた左手小指を軸にして移行します。ですので、B7では1弦5フレットを弾きませんが(最後にこの音を弾く時には、左手人差指で押さえ直しています)、小指で押さえたままにしておきます。 [Inter] [10] 2弦3フレット・D音を押さえた左手人差指は、次のDにコード・チェンジしてすぐ離すのではなく、6弦と5弦の開放を弾く間は押さえたままにして音を伸ばしておき、Dのフォームを押さえる直前で離します。 [11] Dのコード・フォームは一度に押さえなくても、ピッキングする順番に押さえていけばOKです(4弦4フレット・F#音 → 3弦2フレット・A音 → 2弦3フレット・D音の順)。 [12] 1〜2小節目とはフォーム・チェンジのタイミングが異なっています。コード・チェンジのタイミングより前ですが、次のGmaj7に備えてそれまで押さえていたDのコード・フォームを離し、2弦3フレット・D音を左手人差指で押さえ直します。このほうがコード・チェンジ時に音が途切れにくいですが、押さえ直した時に少し流れが止まる印象もあり、残念ながら一長一短です。特に違いを出すために1〜2小節目と変えたわけではありませんので、両方ともどちらかの弾き方に統一して弾いていただいて構いません。ちなみに[Ending]は、3〜4小節目と同じタイミングでフォーム・チェンジしています。 [C] [13] 7フレット・ハーモニクスは、6弦5フレット・G音と4弦4フレット・F#音を押さえたまま、左手小指でハーモニクス・ポイントに触れて弾きます。4弦4フレット・F#音は、4弦開放・D音を弾く直前まで押さえておきます。いずれも、3、5小節目も同様です。 [14] 2弦3フレット・D音は、直前で4〜6弦3フレットを部分セーハしていた左手人差指を倒し、全セーハにして押さえます。 [15] ここで、それまで押さえていたFmaj7のフォームを離して、左手人差指で1弦5フレット・A音を押さえます。移動が急なので、難しいようなら直前のD音を2弦3フレットの代わりに、それまで3弦5フレット・C音を押さえていた左手薬指をスライドさせて、3弦7フレット(左手薬指)で弾くようにしてもよいでしょう。その場合、押さえていたFmaj7のコード・フォームはD音の時点で離すことになります。 [16] 可能であれば、Aのコード・フォームを押さえたまま、左手小指を1弦10フレット・D音まで伸ばして押さえます。難しい場合は、コード・フォームを離して1弦10フレットだけを押さえても構いません。 [17] 押弦していた左手を離し、次のBmへの移動を準備しています。演奏上の“息つぎ”のようなものですので、弱く弾くか、弾かないで[B]や[B2]の当該箇所と同様にA#dimを四分音符で伸ばしておくか、あるいは代わりに3弦6フレット・C#音を弾いてもよいでしょう。 写真 ライヴ at 下呂・温泉寺 (2012年11月24日) ---------- 海へ抜ける道 (p70) 12 海へ抜ける道 Passway to the Sea  ぞんぞんプロデュースの公演「ラブ・スターズ・デイ」のサウンドトラックとして、1991年にピアノで作曲。このお芝居は「リトル・マーメイド」(p30参照)を改題・改稿したもので、当然メイン・テーマは「リトル・マーメイド」でした(「海へ抜ける道」のハーモニクス部分は、「リトル・マーメイド」冒頭部のメロディです)。「ラブ・スターズ・デイ」サウンドトラックに収録したのは私が歌ったヴォーカル・ヴァージョンで、後にリリースした友人の水野ノブヨシくんとのユニットSol, Vento, e Marのアルバムでは、サックスによるインストゥルメンタル・ヴァージョンも録音しました。自分の音楽の核である“寂寥感”をはじめて具体化した曲でもあります。  使用ギターはモーリスS121spで、チューニングはドロップD。4フレットの全弦と、6フレットの2〜6弦にカポを付けています(写真)。6フレットのカポは1弦を空けておかなければならないのですが、片側から止める形であれば普通のカポが使えます(5本の弦だけを押さえる専用のカポも市販されていますし、バンジョー用のカポを使っても同じ事ができます)。ちなみに私はshubb社製の、普通の6弦用カポを使用しています。 写真  TAB譜で1弦0フレットと記された部分([Intro]2小節目冒頭など)は開放弦を表し、そのまま押さえずに1弦を弾きます。この場合、6フレットのカポは1弦を空けてありますので、4フレットに付けられたカポで押さえられた部分が鳴ります。また、[C]2小節目最後のように□で囲まれた1弦0フレットは、0フレット(6フレットカポと同じフレット位置の、空いている1弦)を押弦します([3]参照)。  音を伸ばす部分が多いので、頭の中でしっかりとリズムを意識して弾きましょう。 [Intro] [1] 7フレットのハーモニクスは、4弦4フレット・F#音と6弦5フレット・G音を押さえたまま、左手小指でハーモニクス・ポイントに触れて弾きます。 [2] ここのハーモニクスは、4フレットに触れて弾きます。音が出にくい場合は、右手のピッキング位置をブリッジ寄りにすると、少し出やすくなるでしょう。 [C] [3] □で囲まれた1弦0フレットは、開放弦ではなく0フレット(6フレットカポと同じフレット位置の、空いている1弦)を押弦します(写真)。 写真 [Ending] [4] アルバムでは[Ending]全体でフェード・アウトしていますが、実際に演奏する際には、この繰り返し部分をリピートせずに、途中でテンポを落として(リタルダンド)終えればよいでしょう。 写真 ライヴ at 千葉生涯学習センター“まなびフェスタ” (2012年12月8日) ---------- 星を継ぐもの (p76) 13 星を継ぐもの Inherit the Stars  2006年7月に兵庫の姫路科学館で投影されたプラネタリウム番組「宇宙への夢と憧れ〜ロケット開発物語〜」(制作:(有)スペースサイト)のエンディング・テーマとして作曲。ロケットの開発に情熱を注いだ科学者たちの素顔に迫る番組でした。タイトルは、ロケット開発で受け継がれていく情熱と技術…というイメージで、私の好きなSF小説「星を継ぐもの」(ジェームス・P・ホーガン)からお借りしました。  使用ギターはモーリスS121spで、チューニングはドロップDです。プレイ・キーはG(ト長調)ですが、オリジナルのキー(E/ホ長調)に合わせるため全弦を一音半下げています。ですので実際のチューニングはBF#BEG#C#なのですが、五線譜では通常のドロップD(DADGBE)として記譜してありますのでご注意下さい。普通のドロップDのまま弾いていただいて構いませんが、もしCDに合わせて練習/演奏される場合は、BF#BEG#C#にチューニングすれば同じ音になります。  シャッフルのリズムなので、八分音符の場合オモテ拍がウラ拍より長くなります(比率で言うとオモテ2:ウラ1)。リズムとしては[Intro]1小節目後半の「タララ」を基本とすると、2音目(4弦開放)が無い「ターラ」という感じになります。CDをよく聴いて、雰囲気を掴んで下さい。  アルペジオを中心にしていますが、部分的にストロークも使っています。メロディを含むストロークの場合、高音弦を強めに弾き、メロディより高い弦は必ず消音しましょう(例えば[C]2小節目冒頭は2弦がメロディなので、1弦を消音)。 [A] [1] 伴奏がメロディより高い音域に行きますので、強く弾きすぎないように注意しましょう。 [2] 3〜5弦は、それぞれ右手の中指、人差指、親指でピッキングし、すぐに同じ指を弦に乗せて音を切ります。同時に、押弦した左手を緩めておくとよいでしょう(大きく離すと離弦時の音が出てしまうので、力を抜くけれど触れている…というのがよい 状態です)。続いて、その弦に乗せた指を使って再び3〜5弦をピッキングします。 [3] 基本的には[2]と同じですが、最初に弾く弦(3、4、5弦)と続いて弾く弦(3、4、6弦)が異なるので、右手はピッキングした後に中指を3弦、人差指を4弦、そして親指を6弦に乗せ、5弦の消音は押弦した左手を緩めることで行います。 [B] [4] やわらかくダウン・ストロークします。また、ここからのCmaj7による2小節は、伴奏の低音部である4弦2フレット・E音や5弦3フレット・C音を押さえた左手を途中で離さなければならないため、1弦開放・E音や、途中でメロディとしても弾く2弦開放・B音をできるだけ伸ばしつつ、メロディを弾いていきます。[B2]の当該部分も同様です。 [5] 6弦5フレット・G音を左手薬指で押さえながら、中指を3弦3フレット・B♭音から4フレット・B音へスライドします。 [6] 5弦は鳴らしたくないので、6弦5フレット・G音を押さえた左手薬指で触れて、消音します。 [7] 2弦は1回ピッキングするだけで、3フレット→1フレット(スライド)→開放(プリング)→1フレット(ハンマリング)、まで左手で音を出します。難しければ、適宜ピッキングして構いません。 [8] 3弦は鳴らしたくないので、4弦4フレット・F#音を押さえた左手中指で触れて、消音します。 [C] [9] 6弦は鳴らしたくないので、左手親指でネックを握り込んで消音します。 [10] 1弦と5弦は鳴らしたくないので、1弦は2弦3フレット・D音を押さえた左手人差指で触れるか、右手のストロークに使っていない指を引っ掛けて消音し、5弦は[6]と同じく6弦5フレット・G音を押さえた左手薬指で触れて、消音します。同じ小節の3拍目も同様です。 [11] 6弦は鳴らしたくないので、左手親指でネックを握り込んで消音します。また、1拍目の1弦も鳴らしたくないので、2弦1フレット・C音を押さえた左手人差指で触れるか、右手のストロークに使っていない指を引っ掛けて消音します。<カッコ2>の1小節目も同様です。 [12] 5弦は鳴らしたくないので、6弦3フレット・F音を押さえた左手薬指で触れて、消音します。 [13] 4弦と6弦は鳴らしたくないので、4弦は5弦7フレット・E音を押さえた左手薬指で触れて消音し、6弦は[9]と同じく左手親指でネックを握り込んで消音します。 [A2] [14] 伴奏がメロディより高い音域に行きますので、強く弾きすぎないように注意しましょう。 [B2] [15] [8]同様に3弦は鳴らしたくないので、4弦4フレット・F#音を押さえた左手中指で触れて、消音します。 [16] [8]、[15]と同様に3弦は鳴らしたくないので、4弦4フレット・F#音を押さえた左手中指で触れて、消音します。 [17] 右手で弦を叩き、そのまま手を弦に乗せることで、全弦を消音しつつ打音を出しています。私は1弦を右手中指、2弦を人差指、3〜6弦を親指(側面)で叩いています(写真)。 写真 [18] 1回目はピッキングで弾き、2回目はストロークで弾いています。ただし、特に意図がある違いではありませんので、どちらか弾きやすい方に統一していただいて構いません。 [19] 1回目は3弦開放・G音も弾き、2回目は4弦開放・D音のみ弾いています。ただし、特に意図がある違いではありませんので、どちらか弾きやすい方に統一していただいて構いません。 [20] この小節は2回目(リピート時)のみ、カッコで括られた部分を弾いています。ダイアグラムでは異なったフォームで記してありますが(左手人差指が4〜6弦3フレットを部分セーハするか、6弦3フレットだけを押さえるかの違い)、どちらも部分セーハのフォームで弾くことができます。なお、特に意図がある違いではありませんので、どちらか弾きやすい方に統一していただいて構いません。 ---------- サンタクロースの弟子 (p84) 14 サンタクロースの弟子 [play D] An Apprentice of Santa Claus  『Obedient Woods』本編は13曲目の「星を継ぐもの」まで。ここからの2曲はボーナス・トラックです。  2001年12月に池袋のシアター・グリーンで上演された、劇団キャプテン・チンパンジーの公演「サンタクロースの弟子」のメイン・テーマとして、ピアノで作曲。物語は、サンタクロースに憧れる心優しきサラリーマン・二階堂の、優しくて切ない冒険を描いたもので、ソロ・ギター・アルバム『Milestone』でもプレイ・キーG(ト長調)で一度アレンジしていたのですが、今回新たにプレイ・キーD(ニ長調)でアレンジし直してみました。  使用ギターはモーリスS121spで、チューニングはドロップDの3カポです。 [A] [1] ハンマリングと同時(あるいはその直後)に、3弦2フレットを押さえていた左手人差指を離して、次のBmでの1〜5弦セーハに備えます。 [2] プリング後のメロディである1弦3フレット・G音と2弦3フレット・D音は、左手人差指を移動させて、指頭で押弦しています。難しい場合は、小節の最初から1〜2弦3フレットを人差指で部分セーハしておいてもよいでしょう(クイック・アルペジオによるコードも、2弦は開放・B音の代わりに3フレット・D音となります)。 [3] B音は、2弦開放の代わりに3弦4フレット(左手中指で押弦)で弾き、その中指を6フレット・C#音に移動させて次のAadd9を弾いてもよいでしょう。 [B2] [4] ここまで演奏したら、[A]に戻ります(リピート)。そしてもう一度ここまで来たら再び[A]に戻り(ダル・セーニョ)、[A]を1回リピートした後、[A]6小節目を終えたら、Codaへ跳びます。 Coda [5] 左手人差指は、最初は4〜6弦5フレットを部分セーハし、1弦5フレット・A音のメロディを弾く時点で指を倒して全セーハします。あるいは、最初から全セーハしておいても構いません。 写真 ライヴ at 寿し処 かさ原(2013年4月9日) ---------- Subway Ranger “Metro-Man” (p87) 15 Subway Ranger “Metro-Man”  1994年1月に下北沢の東演パラータで上演された、無頼サクセションの公演「地下鉄戦隊メトロマン」の主題歌として作曲。物語は、西暦2004年…世紀末をやり過ごし退廃的な日常が続く世界。ある日、エコロジア帝国軍と名乗る宇宙からの侵略者達が東京に攻めてくる。それに対抗せんと“自称”天才科学者の地下鉄職員が不可思議な波動を発明、それを浴びてしまった不運な5人の若者は「地下鉄戦隊メトロマン」というヒーローになってしまう。だが、悪だと思って戦っていた敵のある事実を知った彼等は…というものでした。主題歌であるこの曲のタイトルも「地下鉄戦隊メトロマン」なのですが、曲名の印象があまりにも直接的なので、英語表記にしています。  使用ギターはHISTORY NT501Mで、 チューニングはドロップDです。プレイ・キーはAm(イ短調)ですが、オリジナルのキー(G#m/嬰ト短調)に合わせるため全弦を半音下げています。ですので実際のチューニングはD♭A♭D♭G♭B♭E♭となりますが、五線譜では通常のドロップD(DADGBE)として記譜してありますのでご注意下さい。普通のドロップDのまま弾いていただいて構いませんが、もしCDに合わせて練習/演奏される場合は、D♭A♭D♭G♭B♭E♭にチューニングすれば同じ音になります。  全編、ほぼストロークで弾きます。メロディを含めてストロークする場合は、高音弦を強めに弾き、メロディより高い弦は必ず消音しましょう(例えば[Intro]1小節目終わり〜2小節目アタマは、2弦がメロディなので1弦を消音します)。また、メロディを伸ばしておきながら伴奏をストロークする場合([Intro]2小節目後半など)は、メロディの弦までストロークしてしまわないよう、注意しましょう。  縦長のXで記されたコードは、ブラッシングです。押弦した左手を少し緩めるか、左手小指などで弦に触れることで、ストロークをノイズに近い音にしています。  音符の左に波線矢印が付記されたラスゲアド(Ras.)は、主にフラメンコ・ギターで使われる奏法の一つで、右手小指から少しだけ時間差をつけて薬指、中指、人差指の順にダウン・ストロークすることで、“ジャラララーン”という感じで弦を響かせます。 [Intro] [1] TAB譜の下に > が付記された音(スラップ)は、右手親指で弦をあらかじめ引っ掛けて、はじくように弾きます。次の次の、5弦開放・A音も同様です。 [2] Amでは、6弦は鳴らしたくないので、左手親指でネックを握り込んで消音します(以降、このフォームの他のAmも同様です)。またメロディが2弦に来る部分では、2弦を押さえた左手の指の腹で1弦に触れて、消音します。 [3] 押弦に使っていない左手小指で全弦に軽く触れるようにして、音を切ります。あるいは、アップ・ストロークで軽くブラッシングしてもよいでしょう。 [4] Gでは5弦は鳴らしたくないので、6弦5フレット・G音を押さえた左手薬指で触れて消音します(以降、ほとんどのGも同様です)。 [5] TAB譜の下に×が付記された音は、右手親指で弦を叩いて出します。親指は、指先が下(高音弦側)を向くようにし、指の左側面で叩いてすぐ離すようにします。親指の角度が、[6]のストリング・ヒット(指が弦と並行)とは異なるので注意しましょう。また、それと同時に手のひらの親指付け根あたりで、ギターの表板も叩いています(パーム)。Coda1後半、Coda2の1〜2小節目も同様の弾き方です。 [6] 符頭が×で記された音(ストリング・ヒット)は、右手親指で6弦を叩くようにして指を弦に乗せ、音を止めると同時に打音を出します(親指は弦と並行か、あるいは指先が少し上を向いた状態にします)。またこれは、次のスラップの準備も兼ねています。 [A] [7] [5]と同様に、右手親指で弦を叩いて出しますが、この後と同じようにダウン・ストロークで弾いても構いません。 [B] [8] Emでは、5弦は鳴らしたくないので、6弦を押さえた左手中指で触れて消音します(以降、このフォームの他のEmも同様です)。また、メロディが2弦に来ますので、右手のストロークに使っていない指(薬指など)を1弦に乗せて消音します。 [9] ブラッシングです。左手のフォーム自体は次のE7の形を準備しておき、しっかり押さえずに少し触れた状態にすることで音を詰まらせています(E7では開放弦である4弦にも、ここでは左手中指を寝かせるなどして触れておきます)。 [10] E7では、5弦は鳴らしたくないので、6弦を押さえた左手中指で触れて消音します(以降、このフォームの他のE7も同様です)。また、メロディが2弦に来ますので、2弦3フレット・D音を押さえた左手小指で1弦に触れて消音します。 [11] [Intro]最後の小節とは右手の弾き方が異なりますが、特に意図がある違いではありませんので、ストリング・ヒットでもストロークでも、どちらか弾きやすい方に統一していただいて構いません。 [B2] [12] Bm7では、6弦は鳴らしたくないので、左手親指でネックを握り込んで消音します(以降、このフォームの他のBm7も同様です)。また、メロディが2弦に来ますので、2弦3フレット・D音を押さえた左手小指で1弦に触れて消音します。 [13] このE7は[10]と少し異なりますが、やはり5弦は鳴らしたくないので、6弦を押さえた左手中指で触れて消音します。また、ここで強調したいのは3弦2フレット・A音 → 3弦1フレット・G#音 → 4弦4フレット・F#音 → 3弦1フレット・G#音のラインなので、そこを意識して弾くようにしましょう。1〜2弦開放は、鳴っても鳴らなくても構いません。 [C] [14] Aでは、6弦は鳴らしたくないので、左手親指でネックを握り込んで消音します(以降、このフォームの他のAも同様です)。また2小節目の、メロディが3弦に来る部分では、左手小指でセーハするように1〜2弦に触れて消音します。 [15] Eでは、5弦は鳴らしたくないので、6弦を押さえた左手中指で触れて消音します(以降、このフォームの他のEも同様です)。 [16] メロディが2弦のため1弦は鳴らしたくないので、1〜3弦2フレットを部分セーハした左手人差指を、指頭側を押さえたまま関節側を少しだけ起こすようにして、1弦をしっかり押さえず触れるだけにします。難しい場合は、右のダイアグラムのように4弦を開放にし、左手中指と薬指で2弦のメロディを押さえながら1弦に触れて消音するとよいでしょう。 ダイアグラム [17] メロディが2弦のため1弦は鳴らしたくないので、2弦3フレット・D音を押さえた左手中指で触れて消音します。[D]内の他のDも同様です。 [D] [18] メロディが2弦のため1弦は鳴らしたくないので、2〜4弦2フレットを部分セーハした左手人差指で触れて消音します。[D]内の他のAも同様です。 [19] 右手で弦を叩き、そのまま手を弦に乗せることで、全弦を消音しつつ打音を出しています。私は次に弾く弦の関係上、1弦を右手薬指、2弦を中指、3弦を人差指、4〜6弦を親指(側面)で叩いています(写真)。[D2]の当該箇所も同様です。 写真 [A4] [20] 左手でCmaj7のフォームを押さえたまま(ダイアグラムを参照して下さい)、右手で全弦12フレットを叩いてハーモニクスを出します(タッピング・ハーモニクス)。6弦は鳴らしたくないので、左手親指でネックを握り込んで消音します。 [B4] [21] 符頭が×で記された音(ストリング・ヒット)は、右手人差指で4弦を叩くようにして指を弦に乗せ、音を止めると同時に打音を出します。どちらかというと次のピッキングの準備のためのものですので、打音が出なくても構いません。 [22] ここまで演奏したら、[C]に戻ります(ダル・セーニョ1)。そして[Inter]4小節目を終えたら、Coda1へ跳びます。 Coda1 [23] ここまで演奏したら、[C]に戻ります(ダル・セーニョ2)。そして[C]8小節目を終えたら、Coda2へ跳びます。 Coda2 [24] TAB譜の下に×が付記された音は、右手親指で弦を叩いて出します([5]参照)。続いて左手で4弦と6弦の2フレットをハンマリングし、次に右手中指、続けて右手人差指で3〜6弦あたりを狙ってアップ・ストロークします。これを1サイクル(1拍ぶん)として、この動作を3回繰り返します。 写真 ライヴ at フィンガーピッキング・デイ2013 (2013年4月13日) ---------- 南澤大介 ギター関連年表 (p99) 2013(ライヴ/イベント:18ヶ所(〜6月)) 【CD】 『Obedient Woods』 【制作】 押尾コータローさん NHKテキスト「ギター弾きまくロー!」 【制作】 押尾コータローさん 楽譜集「10th Anniversary Best [upper side]」採譜・解説 【制作】 押尾コータローさん 楽譜集「10th Anniversary Best [ballade side]」採譜・解説 2012(ライヴ/イベント:45ヶ所) 【CD付楽譜集】 『ファイナルファンタジー・ソロ・ギター・コレクションズ vol.3』 【講師】 千葉ソロ・ギター・レッスン(継続中) 【参加】 打田十紀夫さん CD『猫とドラゴン』演奏・エンジニアリング 2011(ライヴ/イベント:68ヶ所) 【CD】 『いのり 〜guitar』 【CD付楽譜集】 『ソロ・ギターのしらべ 愉楽の邦楽篇』 【CD付楽譜集】 『ファイナルファンタジー・ソロ・ギター・コレクションズ vol.2』 【参加】 打田十紀夫さん CD『SAKURA』演奏・エンジニアリング 【制作】 押尾コータローさん 楽譜集「Hand to Hand」採譜・解説 2010(ライヴ/イベント:56ヶ所) 【CD付楽譜集】 『ファイナルファンタジー・ソロ・ギター・コレクションズ』 【DVD】 『ハイテク・アコギ奏法』 【講師】 クロサワ楽器御茶ノ水マーティン館 ソロ・ギター・レッスン(〜2011) 【制作】 押尾コータローさん 楽譜集「Eternal Chain」採譜・解説 2009(ライヴ/イベント:15ヶ所) 【CD付教則本】 『はじめてのソロ・ギター入門』 【CD付楽譜集】 『ソロ・ギターのしらべ 天上の映画音楽篇2』 【参加】 フジTV ドラマ「ブザービート」サウンドトラック(作曲:日向敏文) 【制作】 押尾コータローさん 教則本「ギター教えタロー」 【制作】 押尾コータローさん 楽譜集「Tussie mussie」採譜・解説 2008(ライヴ/イベント:44ヶ所) 【CD】 『COVERS vol.1』 【講師】 大阪・MIKIミュージックサロン心斎橋 ソロ・ギター科(継続中) 【制作】 押尾コータローさん 楽譜集「Nature Spirit」採譜・解説 【執筆】 マイケル・ヘッジス CD『ウォッチング・マイ・ライフ・ゴー・バイ』解説 2007(ライヴ/イベント:24ヶ所) 【CD付楽譜集】 『ソロ・ギターのしらべ 至極のクラシック・スタンダード篇』 【制作】 押尾コータローさん 楽譜集「Color of Life」採譜・解説 【制作】 押尾コータローさん 楽譜集「Blue sky」採譜・解説 2006(40歳)(ライヴ/イベント:17ヶ所) 【CD付楽譜集】 『ソロ・ギターのしらべ 悦楽の映画音楽篇』 【CD付楽譜集】 『ソロ・ギターのしらべ 無上のクラシック・スタンダード篇』 【講師】 パン・スクール・オブ・ミュージック ソロ・アコースティック・ギター科(〜2010) 【制作】 押尾コータローさん 楽譜集「Panorama」採譜・解説 2005(ライヴ/イベント:15ヶ所) 【CD】 『Milestone』 【執筆】 マイケル・ヘッジス CD『ビヨンド・バンダリーズ』解説 2004(ライヴ/イベント:13ヶ所) 【CD付楽譜集】 『ソロ・ギターのしらべ 法悦のスタンダード篇』 【CD付楽譜集】 『ソロ・ギターのしらべ スタジオジブリ作品集』 【DVD】 『ソロ・ギターのしらべ 官能のスタンダード篇』 【執筆】 新装・ソングラ研(ギター・マガジン2004年5月号から2年間連載) 2003(ライヴ/イベント:13ヶ所) 【CD】 『Eleven Small Rubbishes』 【楽譜集】 『Eleven Small Rubbishes』 【CD付楽譜集】 『ソロ・ギターのしらべ 官能のスタンダード篇』 【DVD】 『ソロ・ギターのしらべ 至上のジャズ・アレンジ篇』 【執筆】 エイドリアン・レッグ CD『ギター・ボーンズ』解説 2002(ライヴ/イベント:36ヶ所) 【CD付楽譜集】 『ソロ・ギターのしらべ 至上のジャズ・アレンジ篇』 【CD付楽譜集】 『南澤大介の“アニメ&特撮”ソロ・ギター』(絶版) 【DVD】 『ソロ・ギターのしらべ 至高のスタンダード篇』(絶版) 【DVD】 『ソロ・ギターのしらべ』 【演奏】銘器の音(アコースティック・ギター・マガジンvol.14から2年間連載) 【執筆】ソングライティング研究所(ギター・マガジン2002年5月号から2年間連載) 2001 【CD付楽譜集】 『ソロ・ギターのしらべ 至高のスタンダード篇』 【VHS】 『ソロ・ギターのしらべ』(絶版) 2000 【CD付楽譜集】 『ソロ・ギターのしらべ』 1999 【執筆】GM寺子屋(ギター・マガジン 1998 【制作】 マイケル・ヘッジス追悼特集(ギター・マガジン1998年3月号) 1997 【参加】 フジTV ドラマ「ひとつ屋根の下2」サウンドトラック(作曲:日向敏文) 1995(29歳) 【参加】 フジTV ドラマ「いつかまた逢える」サウンドトラック(作曲:日向敏文) 1993 【参加】 フジTV ドラマ「ひとつ屋根の下」サウンドトラック(作曲:日向敏文) 1992 【参加】 フジTV ドラマ「愛という名のもとに」サウンドトラック(作曲:日向敏文) 1986(19歳) ギター・サークル“GUITARISTS”を創設(〜1993) 【制作】 マイケル・ヘッジスのギター・クリニックをサポート 【制作】 マイケル・ヘッジス「エアリアル・バンダリーズ」採譜(ギター・マガジン1986年10月号) 1983 マイケル・ヘッジス、 ウィリアム・アッカーマンらの音楽と出会い、ソロ・ギター・スタイルに目覚める 1981 高校時代、弾き語りを始める 1979(13歳) 中学の授業で、はじめてギターに触れる 1966 誕生 ---------- 奥付 (p100) 南澤大介 Daisuke Minamizawa  1966年12月3日生。作・編曲家としてプラネタリウムや演劇、TVなどのサウンドトラック制作を中心に活動中。近作に、NHK教育TV「しらべてゴー!(作曲)」、プラネタリウム番組「The Earth is Blue(豊川ジオスペース館/作曲)」「星空を紡ぐ言葉(佐賀県立宇宙科学館/作曲)」サウンドトラック、ミヤギテレビジングル(作曲)、フジテレビ月9ドラマ「ブザービート」(ギター演奏)など。  高校時代にギターの弾き語りをはじめ、のちソロ・ギター・スタイルの音楽に傾倒。TVドラマ「愛という名のもとに(1992)」サウンドトラック(作曲:日向敏文)への参加が、プロ・ギタリストとしてのデビュー。ギター1本でロックやポップスの名曲を演奏したCD付き楽譜集「ソロ・ギターのしらべ」シリーズ(リットー・ミュージック刊)が累計50万部を突破(2021年現在)し、楽譜としては異例のベストセラーを続けている。 2021年12月26日 電子版第一版発行 デザイン ifni visual works 発行 Big South Valley Music 〒243-0401 神奈川県海老名市東柏ヶ谷2-28-37 mail@bsvmusic.com 著者 南澤大介 web site …… http://www.bsvmusic.com/ twitter …… @bsvmusic YouTube …… 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