==== Text encoding : UTF-8 ==== “24の練習曲集”第17番 −打音II− 24 Etudes #17 “hits 2” ○ ソロ・ギター・スタイルにおける打音系特殊奏法のうち、ボディ・ヒットやタッピング・ハーモニクスを鍛えるための練習曲です。 ○ ボディ・ヒット(五線譜とTAB譜の欄外上下に記された×)は、ギターのボディを叩いて打音を出す奏法の総称です(本来はパームもこれに含まれます)。記譜には特に決まりがありませんが、本書ではTAB譜を、構えたギターを見下ろした状態に見立てており、TAB譜の上側にあるものはサウンドホールの下側、TAB譜の下側にあるものはサウンドホールの上側を叩くことを示しています(五線譜は、TAB譜に準じています)。 ○ 叩く場所にも特に決まりはありませんが、この練習曲では下図のように叩いています。 fig [1]は右手中指〜薬指の指先で叩きます。[2]は左手薬指の先、[3]は左手人差指の先で、 左手でネックの下からギターのカッタウェイ部分を支えるようにして叩きます(カッタウェイ・タイプのギターではない場合も同様)。[4]は右手親指の側面で叩きます。[5]はパームです(次項参照)。 ○ パーム(音符の下に付いた+)は、右手の手首でギターのボディ(サウンドホールの上あたり)を叩き、低い打音を出す奏法です。ダウン・ストロークと同時に行うこともあります。 ○ TAB譜の符尾(音符の棒の先)に×が付いている音はスラップで、右手親指の側面で弦を叩いて、打音と同時に弦の音も出します。ストリング・ヒットと異なり、親指の先を下向きにして叩きます。また、右手は弦に触れたままにせず、離します。動作としては、ギターの表板に対して右手を振り下ろすのではなく、手首を固定し、ドアノブを回すように手を回転させて叩きます。[A]<カッコ2.4.>3小節目などのように単音の場合は、複数の弦を叩きつつ、不要な音が出ないように音を出したい弦の隣の弦を左手で消音しておきます。和音の場合はパームを伴うことが多く、パームで叩いた勢いを使って右手親指を弦に当てています(この場合のパームは、手首の親指寄りで叩くことになります)。 ○ タッピング・ハーモニクス(t.harm.)は、ハーモニクス・ポイントを右手で叩いてハーモニクスを出す奏法です。単音のタッピング・ハーモニクスは、右手人差指などの指頭でハーモニクス・ポイントを叩いて出します(曲冒頭の[Intro]前など)。和音のタッピング・ハーモニクスは、右手人差指や中指などの指の正面を複数の弦に当てて出します。TAB譜では菱形の左外に左手で押さえるポジション、菱形内に右手で叩くポジションを示してあります。また菱形内に数字ではなく斜めの線が書いてある部分([B]1小節目など)は、指板を斜めに叩くことを表していて、叩くポジションの両端を数字で示してあります。理屈としては、左手で押さえたポジションの12フレット上などを右手で叩くのですが、[B]1小節目のCなどのようにコードに対するタッピング・ハーモニクスは、押さえたポジションや開放弦など全弦の12フレット上を正確に叩くのは不可能です。このような場合、高音弦側あるいは開放弦を優先して正確に狙うとよいでしょう(この場合は、1、3弦開放のハーモニクス・ポイントである12フレットを狙います)。また、音を出したくない弦については、押弦した左手指で触れるなどして消音しておきましょう([B]1小節目・Cの6弦や、[B]<カッコ1> 2小節目・Gの1、5弦など)。 ○ 曲最後のタッピング・ハーモニクスにおいて、5フレットを押さえた4〜6弦は、12フレットを叩くと厳密には7フレット・ハーモニクスが鳴りますが、意図としてはG(G音とD音)を出したいので、右手はわざと(フレットに対して)斜めに叩き、4〜6弦のハーモニクス・ポイントを外しています(五線譜には、ハーモニクスではなく実音を表記してあります)。 【音源】BSVD9828a、BSVD9828a_slow(スロー) 【録音日】2014年6月11日 【使用ギター】Morris S-121sp 【使用弦】Wyres CP1456M