==== Text encoding : UTF-8 ==== Beethoven : Für Elise ベートーヴェン:エリーゼのために  ドイツの作曲家ベートーヴェン(1770〜1827)が、40歳の時に作曲した小品(バガテル)です。タイトルの“エリーゼ”は、後世の研究者がベートーヴェン自筆の楽譜に記された“テレーゼ”を読み間違ったものだと言われており(ベートーヴェンはかなりの悪筆でした)、彼が愛したテレーゼ・マルファッティに贈られた曲との説が有力でした。しかし近年では、ベートーヴェンの知人の妹で歌手のエリザベート・レッケル(愛称がエリーゼ)のことではないか、という研究も発表されています。 [1] 曲中でも頻出するE音〜D#音の連続部分ですが、E音とD#音は同時に鳴らしたくないので、消音のためにわざと2弦5フレットでE音を弾いています。もし1弦開放でE音を弾く場合は、D#音と同時に鳴らないよう、E音とD#音を交互に消音しましょう。 [A] [2] [1]では2弦5フレットを使っているE音ですが、曲中ではフレーズの開始音のみ、左手の移動が楽になるように1弦開放を使っています。次のD#音を弾く時点で、2弦4フレットを押さえた指の腹で1弦に触れるなどして、消音しましょう。 [D]  1〜4小節目は難しいので、下記の譜例のように簡略化してもよいでしょう。 [F]  1〜2小節目は、オリジナルでは3小節ありますが、ギターという楽器の音域的な特性から2小節にしてあります。難しい場合は1〜4小節目を省略し、[E]最後の小節(E)からすぐ[F]5小節目(E7)へ跳んでもよいでしょう。 ●[A]6小節目・Eの、メロディ2音目:4弦2フレット・E音について。  日本で一般によく聞かれ、またピアノで弾かれている本曲では、メロディのこの箇所はE音ですが、作曲時のものとおぼしきメモにはD音で書かれています。冒頭でも紹介しましたが、ベートーヴェンはかなりの悪筆だったため、後に楽譜が出版される際に間違って書き写されたか、あるいは楽譜の編纂者によってE音と解釈され、それが一般的になってしまった…ということのようです。  本楽譜では「一般的に知られている音楽の再現」という意味で、当該部をE音としてありますが、弾き方の参考にしていただく意味もあり、曲の一番最後の箇所だけD音で表記し、模範演奏でもそのように弾いています。D音で弾くと違和感がある場合は、すべてE音にしていただいて構いませんし、もしD音のほうがしっくり来る場合はすべてD音で弾いてもよいでしょう。 【音源】BSVD7051a 【録音日】2021年6月1日 【使用ギター】tupli argo #077 南澤大介カスタム 【使用弦】Wyres CP1456M